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タイポップスの名曲~「サバーイ、サバーイ」(バード・トンチャイ)

  • 執筆者の写真: akiyamabkk
    akiyamabkk
  • 2021年7月15日
  • 読了時間: 4分

更新日:2024年2月11日



タイの国民的歌手バード・トンチャイの「サバーイ、サバーイ」。タイ語で、「いい気分」「元気」「調子いい」みたいな意味である。サバーイディーマイ?「元気かい?調子はどう?」というふうに挨拶替わりに使う。これがマイサバーイ(サバーイではない)となると、「病気」という意味になる。


当たり前のことだが、しあわせであること、いい気分で世にある時間を過ごすことは人生で一番重要なことだから、タイ人にとって、「サバーイ」は生きる目的そのものだろう。この歌がリリースされたのは1980年代の後半、経済成長が続き、民主化へのとば口にあったタイ社会の、楽天的な雰囲気を考え合わせると、この歌の大ヒットは或る種必然であったような気がする。


自分は1992年の暮れにカンボジアに赴任したが、そのころプノンペンの巷(主にナイトクラブだが)ではこの歌が人気だった。「サバーイ、サバーイ」のタイでのリリースが1987年だから、5年たっても隣国では人気が衰えなかったことになる。もっとも当時は、パソコンもインターネットもなく(赴任した当初、報告書は手書きで、FAXで送っていた。)、情報の伝達スピードが遅かったから、流行も遅れて伝わっただろう。


カンボジアは国連が主催する選挙準備の真っ最中で、新しい未来が目前に来ているという希望があったから、この歌の楽天的な雰囲気が受けたのだろう。当時のタイは東南アジアの先進地域であり、カンボジア人には発展した隣国への憧れもあったと思う。ちなみに、サバーイはクメール語でも意味は同じで、タイ語のサバイデーマイ(元気?)が、カンボジアではソクサバーイチアティーとなる。


前置きが長くなった。グラミーレコードの Youtube 公式サイトに、この歌が上がっていたのでリンクしてみた。懐かしいが、今回訳してみると、当時は歌詞の意味をよく理解していなかったことに気づいた。単に「ああ幸せ、良い気分」という歌ではなく、男と女のアヤを歌っている。


「君が僕から離れていっても、僕は平気、サバーイサバーイで生きていけるよ」と男がやせ我慢している図である。そうやってクールにふるまうことで女の気を引いているようでもある。バードみたいな典型的なチャラオ、イロオトコが歌うから、そういう雰囲気になるわけだが、一方で、強がる男の本音がすけて見えて「カワイラシイ」という印象にもなる。ノンシャラン(死語?)としているようで、なかなか手が込んだ歌詞だった。


以下拙訳。


サバイ、サバーイ


サバイ、サバーイ、気が合えば付き合おう

ぼくは何にも気にしない男

だから、誰を困らせたこともない


サバイ、サバーイ、付き合うのならば

愛情と誠実、これだけをお願いする

他には何も求めないよ


サバイ、サバーイ、君もそのうちわかる

僕たちは理解し合える

これから苦楽をともにするんだ


サバイ、サバーイ、君が心変わりして

僕にサヨナラを言っても構わない

君にも事情があるんだろうから 悲しくて残念だけど


でも僕は、サバイ、サバーイ

君が僕を捨ててもだ大丈夫 僕は誰にも無理強いしない

お互い気持ちよく別れられる


サバイ、サバーイ、君もそのうちわかる

僕たちは理解しあえる

これから苦楽をともにするんだ


サバイ、サバーイ、君が心変わりして

僕にサヨナラを言っても構わない

君にも事情があるんだろうから 悲しくて残念だけど


でも僕は、サバイ、サバーイ

君が僕を捨ててもだ大丈夫 僕は誰にも無理強いしない

お互い気持ちよく別れられる


サバイ、サバーイ

サバイ、サバーイ

サバイ、サバーイ

サバイ、サバーイ


サバイ、サバーイ

僕たちは理解し合える

これから苦楽をともにするんだ



・・・以上。うーん、単純にタイ人のマイペンライの生活信条を歌っているような気もしてきた。要するにこの歌は、タイ人の流儀では、「サバーイ、サバーイ」のリフレインが心地良く耳に響けば、それで良いのですね。


例によって、誤訳があると思いますので、訂正のご指摘、大歓迎、大感謝いたします。


<了>


参考

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